症例報告
胃前庭部から発生し十二指腸球部に嵌入を認めた嚢胞形成性迷入膵の1例
吉田 素平, 渡部 祐司, 堀内 淳, 土居 崇, 中川 博道, 湯汲 俊悟, 佐藤 公一, 山本 祐司, 河内 寛治
愛媛大学医学部第2外科
症例は51歳の男性で,人間ドックにおける上部消化管造影検査で異常を指摘されたため近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて粘膜下腫瘍を認めたため当院を紹介され受診した.胃十二指腸造影検査,胃内視鏡検査では胃前庭部から発生し,十二指腸球部に嵌入した球形の腫瘍を認め,また,同時に行った生検では正常粘膜のみであった.X線造影CTでは内部に嚢胞を形成し,周囲が軽度造影される3 cm大の球形の腫瘍を認めた.変性したGISTなどを疑ったが確定診断は得られず,また内視鏡下の切除は困難であると考えられたため,腹腔鏡補助下胃内手術にて腫瘍を摘出し,術後病理診断にて最終的に迷入膵と診断した.迷入膵は胃粘膜下腫瘍の鑑別の際に疑うべき疾患であり,まれであるが本症例のような形態を呈することも念頭におくべきであると考えられた.
索引用語
aberrantpancreas, gastrointestinal stromal tumor, minimally invasive surgery
日消外会誌 39: 1511-1516, 2006
別刷請求先
吉田 素平 〒791-0295 東温市志津川 愛媛大学第2外科
受理年月日
2006年2月22日
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