症例報告
動脈性出血を来し緊急手術を要した難治性再燃型小児潰瘍性大腸炎の1例
海老澤 良昭, 河野 透, 千里 直之, 間宮 規章, 徳差 良彦*, 三代川 斉之*, 葛西 眞一
旭川医科大学第2外科, 旭川医科大学病院病理部*
上行結腸潰瘍部の動脈破綻により大量出血を来し,緊急手術を要した小児潰瘍性大腸炎の症例を経験したので報告する.症例は12歳の男性で,2003年9月に下血,腹痛にて発症.近医にてプレドニゾロン,5―アセチルサリチル酸など投与され一時緩解するもその後増悪し,同年10月に当院小児科を紹介され入院.加療にて一時寛解したが2004年5月下旬に下血の増悪あり.加療にても改善せず,6月初旬に大量下血あり,大腸内視鏡検査を施行.上行結腸の深掘れ潰瘍から動脈性出血を認め,内視鏡的止血が困難であり当科紹介となった.同日緊急手術を施行した.深掘れ潰瘍からの動脈性出血はまれであり,内科的治療の限界を意味するものであり,早期診断および手術が必要となる.特に近年,増加傾向のある小児症例においては全結腸炎の割合が高く重症,劇症型が多いため小児科・内科・外科の連携を密にして診断・加療を行い,タイミングを逸することなく手術を行うことが重要である.
索引用語
ulcerative colitis, arterial hemorrhage, deep ulcer
日消外会誌 39: 1540-1546, 2006
別刷請求先
海老澤良昭 〒078-8510 旭川市緑が丘東2条1-1-1 旭川医科大学第2外科
受理年月日
2006年2月22日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|