症例報告
FDG-PETが診断に有用であった直腸癌甲状腺転移の1例
宮澤 智徳1)2), 牧野 春彦2), 冨田 広2), 畠山 勝義1)
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科分野1), 新潟県立坂町病院外科2)
FDG-PETが診断に有用であった直腸癌甲状腺転移を経験したので報告する.症例は60歳の女性で,平成13年9月に直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行した.平成14年1月に肺転移に対し左肺楔状切除を施行した.術後l-LV・5-FU療法を7コース施行したが,次第にCEAの上昇を認めたためCTおよびシンチグラムなどで全身検索を行ったが明らかな転移巣および局所再発を指摘できなかった.12月にFDG-PETを施行したところ左頸部にFDGの集積が指摘された.直腸癌甲状腺転移の診断で平成16年1月甲状腺左葉切除を施行した.病理組織学的検査所見は腺癌の甲状腺転移であった.直腸癌の甲状腺転移は非常にまれであり,本邦報告例は自験例を含め5例であった.FDG-PETは,従来の画像検査で異常を指摘できないが腫瘍マーカーの上昇を来している直腸癌術後患者の転移の検索に有用であると考えられた.
索引用語
rectal carcinoma, metastasis to the thyroid gland, FDG-PET
日消外会誌 39: 1565-1570, 2006
別刷請求先
宮澤 智徳 〒951-8510 新潟市旭町通1番町757番地 新潟大学大学院医歯学綜合研究科消化器・一般外科
受理年月日
2006年2月22日
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