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第39巻 第11号 2006年11月 [目次] [全文 ( PDF 1063KB)]
症例報告

胃結腸瘻を来した胃潰瘍の1例

米山 公康, 菊山 成博, 大山 廉平

東京都済生会中央病院外科

 胃結腸瘻は悪性腫瘍や胃空腸吻合術後の合併症として報告されることは多いが,良性胃潰瘍を原因とする報告は少ない.今回,我々はその1例を経験したので報告する.症例は48歳の男性で,腹痛および嘔吐を主訴に入院した.既往歴では胃潰瘍を指摘されていたが無治療であった.上部消化管造影X線検査では胃後壁から造影剤が漏出し,結腸が造影された.上部消化管内視鏡検査では胃体下部後壁に瘻孔を認め,結腸への内視鏡の挿入が可能であった.注腸造影X線検査では横行結腸から造影剤が漏出し,胃が造影された.以上より,胃潰瘍が横行結腸に穿通し瘻孔を形成したものと診断し,開腹手術を施行した.横行結腸は胃後壁に入り込み癒着し,瘻孔を形成していた.広範囲胃切除,横行結腸部分切除術を施行した.切除標本では後壁に潰瘍を認めた.病理組織診断により胃潰瘍による胃結腸瘻と診断され,悪性所見は認めなかった.

索引用語
gastrocolic fistula, gastric ulcer

日消外会誌 39: 1666-1671, 2006

別刷請求先
米山 公康 〒108-0073 港区三田1-4-17 東京都済生会中央病院外科

受理年月日
2006年4月26日

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