症例報告
Gemcitabine化学療法中に髄膜癌腫症を来した膵癌の1例
八木 斎和, 西村 康明1), 中津川 重一2), 福岡 伴樹, 廣田 政志, 岡本 喜一郎, 佐藤 健, 市原 透
国立病院機構豊橋病院外科, 国立病院機構豊橋東病院脳神経外科1), 名古屋大学医学部放射線科2)
症例は64歳の男性で,糖尿病にて近医通院中に,2003年12月頃より左季肋部痛出現し,2004年1月初旬に当院を受診した.腹部USで膵体部に長径4 cm大の腫瘍を認めた.CEA 7.4 ng/ml,CA19―9 517 U/mlと高値で,ERPにて膵体部で途絶像あり.腹部CTおよび腹部血管造影検査の結果,動脈系浸潤・門脈系浸潤があり,切除不能膵体部癌と診断した.2月初旬よりGemcitabine 1.2 g/body(週1回,3週連続投与・1週休薬)による化学療法を開始した.腫瘍マーカーは4月には正常値になり,腹部CTでも局所制御は良好であったが,4月初旬の夜間より発熱,嘔吐,頭痛が出現した.頭部MRIで脳内へ浸潤様に変化した髄膜癌腫症と診断した.他臓器への転移はなかったため,髄膜癌腫症に対して放射線治療を行った.その間のGemcitabineは減量し使用した.2005年12月現在,生存中で化学療法を継続している.
索引用語
meningeal carcinomatosis, pancreatic cancer, gemcitabine
日消外会誌 39: 1683-1688, 2006
別刷請求先
八木 斎和 〒490-1111 海部郡甚目寺町大字甚目寺字山ノ浦148 公立尾陽病院外科
受理年月日
2006年3月22日
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