症例報告
門脈ガス血症を呈した狭窄型虚血性小腸炎の1例
樫塚 久記, 山本 雅敏, 西脇 英敏, 細井 孝純, 堤 雅弘*, 今川 敦史
済生会中和病院外科, 同 病理*
症例は84歳の女性で,突然の腹痛のため近医を受診.精査加療目的で当科に入院となった.腹部単純X線写真でイレウス像および腹部CTで肝内門脈と上腸間膜静脈にガス像を認めた.高齢であるが全身状態は改善傾向にあるため,イレウス管を挿入し,保存的治療を行った.第15病日の腹部CTで門脈ガス(hepatic portal venous gas;以下,HPVGと略記)は消失し,経口摂取を開始したが再度腸閉塞症状となった.第49病日のイレウス管造影検査で回腸に狭窄部を認めたため,虚血性小腸炎による腸閉塞と診断し手術を施行した.回腸末端より約45 cm口側回腸に約20 cmの狭窄部を認め,回腸部分切除術を施行した.HPVGを呈した狭窄型虚血性小腸炎は極めてまれな疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
ischemic enteritis, hepatic portal venous gas
日消外会誌 39: 1850-1855, 2006
別刷請求先
樫塚 久記 〒573-8511 大阪府枚方市星丘4丁目8番1号 星ヶ丘厚生年金病院外科
受理年月日
2006年4月26日
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