症例報告
TS-1を用いた胃癌術後化学療法開始後早期に発症した急性骨髄性白血病の1例
八木 斎和, 石川 忠雄, 岡本 喜一郎, 佐藤 健, 市原 透, 池田 靖1), 北村 淳子2), 伊藤 雅文2)
国立病院機構豊橋病院外科, 同 内科1), 名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学2)
症例は71歳の男性で,2003年6月胃集検にて要精検となり当院受診し,上部消化管内視鏡検査で体下部から幽門にかけての4型胃癌と診断した.8月中旬に幽門側胃切除術を施行した.肝転移や腹膜播種は認めなかったが,領域外のリンパ節No. 14a,15に転移を認めた.根治度Cであったので,術後21日目よりTS-1 100 mg/日の内服を開始した.TS-1開始後24日目の10月初旬ふらつきを自覚し受診した.血液検査にて汎血球減少を呈しており,TS-1による骨髄抑制と診断し,TS-1は中止した.対症療法のみでいったん改善がみられたが,11月初旬に39℃台の発熱と再度の汎血球減少の進行を認めた.骨髄生検でFAB分類:M4の急性骨髄性白血病であった.cytarabine 40 mg/日の化学療法を開始したが,11月中旬に脳出血・脳室穿破にて死亡した.手術後わずか3か月弱の急速で劇的な経過であった.
索引用語
acute myelogenous leukemia, gastric cancer, TS-1
別刷請求先
八木 斎和 〒490-1111 海部郡甚目寺町大字甚目寺字山ノ浦148 公立尾陽病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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