症例報告
胃癌術後12年目に発症した骨転移の1例
若月 幸平, 山田 行重, 成清 道博, 上野 正闘, 玉置 英俊, 三木 克彦, 松本 壮平, 榎本 浩士, 中島 祥介
奈良県立医科大学消化器総合外科
症例は50歳代の男性で,平成4年4月にstage II(T2,N1,P0,H0,M0)胃癌に対し胃全摘術を施行した.病理診断はsignet ring cell carcinomaであった.術後3年間の5FU系内服抗癌剤およびPSK投与の後,再発兆候はなかった.平成16年8月中旬より腰痛を認め,精査にて胸椎・腰椎の病的骨折が疑われたために骨生検を施行.Signet ring cell carcinomaと診断され,胃癌の骨転移と診断した.TS-1+CDDP療法および放射線照射を行った.いったん,腫瘍マーカーの減少と疼痛の緩和が得られたが,約2か月後にdisseminated intravascular coagulationを発症し死亡した.術後10年以上経過した後に再発を来す症例はまれであるが,若年者で胃体中~上部,組織型が未分化型,リンパ節転移陽性であれば,術後後期の骨転移も考慮に入れ,長期にわたる経過観察の必要性が示唆された.
索引用語
gastric carcinoma, bone metastasis, long disease-free interval
別刷請求先
若月 幸平 〒634-8522 橿原市四条町840 奈良県立医科大学消化器総合外科
受理年月日
2006年5月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|