症例報告
肝切除後に総肝動脈リンパ節転移を来した肝細胞癌の1例
高台 真太郎1)2), 上西 崇弘1)2), 市川 剛1), 山崎 修2), 松山 光春2), 堀井 勝彦2), 清水 貞利2), 玉森 豊2), 東野 正幸2), 久保 正二1)
大阪市立大学大学院肝胆膵外科学1), 大阪市立総合医療センター消化器外科2)
肝癌切除後の孤立性リンパ節転移を摘除することで,術後2年6か月の現在,無再発生存中の症例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,C型慢性肝炎に伴う肝癌に対して肝切除術を2回施行されていた.経過観察中のCT像上,肝尾状葉に約4 cm大の腫瘤性病変を認め,AFP,PIVKA-II値の著明な上昇がみられた.腹部血管造影像では腫瘤は中肝動脈および左胃動脈より栄養される腫瘍濃染像として描出され,肝癌の尾状葉再発と診断し開腹した.腫瘍は肝尾状葉に接するように総肝動脈の腹側に存在していたが,肝臓からは独立しており肝癌の総肝動脈幹リンパ節転移と考え摘除した.病理組織学的検査では中分化型肝癌のリンパ節転移と診断された.AFP,PIVKA-IIは術後2か月目に標準値範囲内へ低下し,以来,再発徴候を認めていない.原発巣がコントロールされた肝癌の孤立性リンパ節転移は摘除により良好な予後が得られる可能性が示唆された.
索引用語
solitary lymph node metastasis, hepatocellular carcinoma, hepatic resection
別刷請求先
高台真太郎 〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 大阪市立大学大学院肝胆膵外科学
受理年月日
2006年5月31日
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