症例報告
無石胆嚢炎を併発した乳癌術後胆嚢転移の1例
町田 大輔, 湯川 寛夫**, 郷田 素彦, 金成 正浩, 永野 篤, 藤澤 順, 松川 博史, 清水 哲, 河野 尚美*, 利野 靖**
横浜南共済病院外科, 同 病理部*, 横浜市立大学附属病院一般外科**
乳癌は手術に加え化学療法やホルモン剤の使用によって,たとえ再発例であっても長期生存が期待できることが少なくないが,さまざまな臓器に転移を来すことでも知られている.しかし,胆嚢転移の報告は極めて少なく自験例を含め10例のみである.今回,我々は乳癌胆嚢転移のまれな1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は53歳の女性で,左乳癌に対し非定型的乳房切除術が施行され,病理組織学的検査では乳頭腺管癌+浸潤性小葉癌であった.術後補助療法として化学療法,ホルモン療法が施行された.平成15年7月発熱,右上腹部痛が出現し,腹部USで胆嚢壁の著明な肥厚を認め胆嚢炎と診断された.保存的治療にもかかわらず腹部症状の消失はなく,8月胆嚢摘出術が施行された.壊死性胆嚢炎の状態で結石は認めなかった.肝両葉に肝転移を認めた.病理組織学的検査で胆嚢壁は著明に肥厚し粘膜から筋層まで強い変性を認めた.頸部粘膜下に白色結節があり乳癌胆嚢転移と診断された.
索引用語
gallbladder metastasis, breast carcinoma, gastrointestinal metastasis
別刷請求先
町田 大輔 〒236-0037 横浜市金沢区六浦東1-21-1 横浜南共済病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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