症例報告
腸石による輸入脚閉塞症の1例
山村 進, 小林 匡, 小林 正昭, 藤田 逸郎*, 横室 茂樹*, 中村 慶春*, 相本 隆幸*, 内田 英二*, 田尻 孝*
小林病院外科, 日本医科大学大学院医学研究科臓器病態制御外科学*
症例は75歳の女性で,腹痛,嘔吐を主訴に当院入院となった.既往歴には胃潰瘍による胃切除術,胆嚢結石症による胆嚢摘出術があった.入院時腹部CTにて臍部近傍の小腸内に約3 cm大の円形の層構造を有するhigh densityを示すmassを認め,イレウスを呈していた.イレウス管にて症状が軽快するも,1か月後に再び同様の症状が出現し,CTにて前回同様のmassを認めたが,小腸内で移動していた.繰り返す小腸内異物によるイレウスの診断にて手術を施行したところ,腸石により輸入脚が閉塞していた.腸石を除去後,ブラウン吻合を造設した.腸石は外殻,中核に分かれ,層構造を成していた.本症例は小さな胆嚢結石が総胆管より排石され,それが中核となり輸入脚内で停滞するうちに外殻が形成された腸石と推測された.胃切除後の腸石による輸入脚閉塞症は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告した.
索引用語
enterolith, afferent loop obstruction, ileus
別刷請求先
山村 進 〒175-0094 板橋区成増3-10-8 小林病院外科
受理年月日
2006年5月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|