症例報告
特徴的なCT像より早期診断しえた原発性小腸軸捻転症の1例
小林 大介, 本田 一郎, 守 正浩
新城市民病院外科
症例は82歳の男性で,2005年5月下旬より便秘,腹痛が出現し,その数日後より嘔吐も伴ったため近医を受診し,イレウスの診断にて当院へ紹介受診となった.既往歴は特記すべきことはなし.来院時上腹部から臍部にかけて強い疼痛と圧痛を認め,臍上部に腫瘤を触知した.血液生化学検査は正常範囲内であった.腹部CTにて腸管膜の血管を中心として小腸が渦巻き状に巻き込まれるwhirl signを認めた.小腸軸捻転と診断し同日緊急手術を行った.手術所見は全小腸が上腸間膜動脈を中心に時計方向に540度捻転していた.他に軸捻転の誘因となる索状物,腫瘍,癒着はなく,腸管膜根部に過剰な可動性や腸回転異常などの解剖学的異常も認められなかったため,原発性小腸軸捻転症と診断した.腸管の壊死はなく捻転の解除のみ行った.術後経過は良好で第14病日退院となった.開腹歴がなく絞扼性イレウスを疑う症例では本症の可能性も考慮する必要があり,診断に際してはCTが有用である.
索引用語
primary volvulus of the small intestine, whirl sign, abdominal CT
別刷請求先
小林 大介 〒489-8642 瀬戸市西追分町160 公立陶生病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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