症例報告
急性骨髄性白血病の寛解導入療法による骨髄抑制期に好中球減少性腸炎および急性虫垂炎を発症した1例
小高 雅人, 杉藤 正典, 小林 昭広, 小畠 誉也, 矢野 匡亮, 斉藤 典男
国立がんセンター東病院大腸骨盤外科
症例は42歳の男性で,点状出血および発熱を契機に急性骨髄性白血病(M0)と診断され,化学療法を施行された.その17日後に右下腹部痛が出現し,腹部CTで上行結腸から盲腸にかけて壁肥厚を認めたため,好中球減少性腸炎と診断したが,骨髄抑制期であることと腹部所見を考慮し保存的治療を選択した.その後症状は軽快したが,下部消化管内視鏡所見で虫垂より膿の排出を認めたため,虫垂炎と診断し,虫垂切除術を施行した.組織学的検査所見は白血病細胞を認めず,急性および慢性の炎症所見のみであった.今後,我々消化器外科医は,白血病治療中の急性腹症患者に対する診断,治療に遭遇する機会が増加する可能性があり,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
leukemia, acute abdomen, neutropenic enterocolitis
別刷請求先
小高 雅人 〒277-8577 柏市柏の葉6-5-1 国立がんセンター東病院大腸骨盤外科
受理年月日
2006年5月31日
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