症例報告
中結腸動脈瘤破裂による後腹膜血腫の1手術例
内海 方嗣, 村岡 篤, 小林 正彦, 木村 圭吾, 國土 泰孝, 立本 昭彦, 津村 眞, 鶴野 正基
香川労災病院外科
腹部血管造影にて中結腸動脈破裂と診断し,緊急手術を行った症例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,腹痛を主訴に当院の救急外来を受診した.急性腸炎と診断されいったん帰宅するが,腹痛が治まらず翌日に再来した.CTにて後腹膜出血と診断され,血管造影検査を施行すると中結腸動脈に血管外漏出像を伴う動脈瘤を認めた.経カテーテル的動脈塞栓術での止血は困難であったため緊急手術を行った.開腹すると後腹膜に著明な血腫を形成しており,中結腸動脈に発生した動脈瘤破裂による血腫と診断し動脈瘤を摘除した.病理組織学的には内膜,中膜の壊死を認め,segmental arterial mediolysis(SMA)の関与が考えられた.本疾患はまれな病態であり,診断,治療を同時に行えるinterventrial radiologyが第1選択であるが,状況に応じて開腹術に移行すべきであると考えられた.
索引用語
middle colic arterial aneurysm, segmental arterial mediolysis
別刷請求先
内海 方嗣 〒763-8502 丸亀市城東町3-3-1 香川労災病院外科
受理年月日
2006年5月31日
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