大腸癌肝転移にラジオ波焼灼療法を施行後，肝切除を施行した1例

古澤　徳彦, 三輪　史郎, 小林　聡, 野村　和彦, 中田　岳成, 宮川　眞一, 細田　和貴^＊

信州大学医学部外科学講座, 同　臨床検査部^＊

　大腸癌肝転移に対し他院で行われたラジオ波焼灼（radio frequency ablation；以下,RFA）後に，当科で肝切除術を施行した1例について報告する．症例は50歳の男性で，多発性肝転移の一部の腫瘍に対しRFAが行われ，残りの未治療の腫瘍に対する加療目的で当科に紹介となった．RFA後の腹部CTでは，焼灼部は腫瘍より広範囲に造影欠損が認められ，焼灼により治療しえたと判断されたが，肝切除術により得られた標本の病理組織学的検査では焼灼部に腫瘍の遺残を認めた．大腸癌肝転移に対する治療は肝切除が第1選択であり，RFAの有効性はいまだ議論の多いところである．RFA後の局所再発や，穿刺に伴う播種により根治性を損なうとの報告もあり，大腸癌肝転移の治療としてRFAの適応は慎重に検討すべきである．

索引用語
radio frequency ablation, colorectal hepatic metastasis, hepatic resection

別刷請求先
古澤　徳彦　〒390-8621　松本市旭3-1-1　信州大学医学部外科学講座

受理年月日
2006年7月26日

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