症例報告
肝動脈合併切除再建膵頭十二指腸切除を施行した若年者膵癌の1例
島田 和明, 佐野 力, 阪本 良弘, 小菅 智男, 桜庭 実1), 平岡 伸介2), 板橋 浩一3), 吉田 宗紀4)
国立がんセンター中央病院肝胆膵外科, 同 形成外科1), 国立がんセンター研究所病理2), 北里大学東病院外科3), 北里大学病院外科4)
40歳以下の若年者膵癌はまれで,診断時にはすでに切除不能となっている場合が多い.通常,肝動脈浸潤が認められる局所進行膵癌は手術適応外とされるが,十二指腸浸潤により消化管出血を繰り返した若年者膵癌に対し肝動脈門脈合併切除再建膵頭十二指腸切除を施行した.術後合併症なく退院し,補助化学療法としてgemcitabine(以下,GEM)投与を行った.8か月後に腫瘍マーカーの再上昇と肝動脈再建部位付近に局所再発を認め,5Fuの持続投与と50 gyの体外放射線照射を行った.その後,GEM投与を継続し術後26か月経過した時点で,腫瘍の再燃は認められていない.肝動脈合併切除が必要な局所進行膵癌であっても,集学的治療を併用すれば外科切除を行う臨床的意義があると思われた.
索引用語
juvenile pancreatic cancer, hepatic arterial resection, pancreaticoduodenectomy
別刷請求先
島田 和明 〒104-0045 中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院外科
受理年月日
2006年7月26日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|