症例報告
プロテインC低下に伴う上腸間膜静脈血栓症の1例
山川 俊紀, 小野田 裕士, 大橋 龍一郎, 泉 貞言, 鈴鹿 伊智雄, 塩田 邦彦
香川県立中央病院外科
プロテインC低下に伴う上腸間膜静脈血栓症の1例を経験したので報告する.症例は63歳の男性で,嘔気,上腹部鈍痛を認め,近医で胃内視鏡検査を施行したが異常なく,急性腸炎と診断された.しかし,症状が改善せず,腹部CT,multiplanar reformationにて上腸間膜静脈血栓症を疑われ当科紹介となった.緊急開腹術を施行し,血性腹水と壊死小腸を認めた.腸間膜動脈の拍動を認め,血栓は腸間膜静脈のみに認めたため上腸間膜静脈血栓症と診断した.上腸間膜静脈内の血栓を除去後,約90 cmの壊死小腸を切除後端々吻合した.手術前の血中プロテインC抗原量および活性値は低下しており,プロテインC欠乏症に伴い上腸間膜静脈血栓症を発症したものと思われた.プロテインC欠乏症に伴う上腸間膜静脈血栓症の本邦報告例は自験例を含めて3例しかなく,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
superior mesenteric vein thrombosis, protein C deficiency
別刷請求先
山川 俊紀 〒760-8557 高松市番町5-4-16 香川県立中央病院外科
受理年月日
2006年7月26日
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