症例報告
虫垂炎を併発した肺癌虫垂転移の1例
柳澤 和彦, 山本 雅由, 福沢 淳也, 大河内 信弘
筑波大学消化器外科
虫垂炎を伴う肺癌の虫垂転移の1例を経験したので報告する.症例は65歳の男性で,64歳時に左肺癌に対して左肺全摘術,縦隔リンパ節郭性術を施行された.術後9か月目に縦隔リンパ節に転移再発を来し,これに対して放射線治療を行っていたが,治療中に右下腹部痛が出現.虫垂炎を伴う腫瘤性病変を認めたため,絶食,抗生剤投与を行い一時的に軽快した.その後,右下腹部痛が再燃したため外科的切除を行った.切除標本では盲腸後面に約6 cm大の腫瘤を認め,病理組織学的検査では肺癌組織と酷似した癌細胞が固有筋層を中心に腫瘤を形成しており,肺癌の虫垂転移と考えられた.回盲部切除後12か月目に肺炎を併発し死亡した.進行担癌患者における虫垂炎を伴う転移性虫垂腫瘍の治療に関して若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
appendiceal metastasis, lung cancer, acute appendicitis
別刷請求先
柳澤 和彦 〒305-8575 つくば市天久保2-1-1 筑波大学消化器外科
受理年月日
2006年7月26日
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