症例報告
穿通により直腸周囲膿瘍を合併した直腸憩室内癌の1例
斎藤 由理, 村越 智, 斉藤 孝, 鈴木 克彦, 南條 博*
本荘第一病院外科, 秋田大学病理病態医学講座器官病態学分野*
今回,我々は直腸憩室内癌が穿通し,直腸周囲膿瘍を形成した症例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,肛門痛と発熱を主訴に当科受診した.直腸指診で下部直腸に全周性の狭窄を認め,骨盤CT上直腸周囲に膿瘍がみられた.大腸内視鏡検査でRbに1型の腫瘍を認め,注腸造影X線検査ではRbに全周性の狭窄と,その肛門側から造影される膿瘍腔が認められた.直腸癌穿通による直腸周囲膿瘍の診断で腹会陰式直腸切断術を施行した.Rbに1/2周性の1型の腫瘍があり,1.5 cm肛門側に1×1 cmの陥凹性腫瘍が認められた.病理組織学的検査所見では口側病変がwell~mod, a1,ly2,v1,n0,肛門側病変は憩室内癌でmod,a2,ly1,v2,n0で2病変に連続性はなく膿瘍は肛門側の病変の穿通と診断された.直腸憩室内癌では,構造上深達度は判定が困難で小病変でも早期に穿通する可能性がある.
索引用語
periproctal abscess, cancer in rectal diverticulum
別刷請求先
斎藤 由理 〒015-8567 由利本荘市岩淵下110 本荘第一病院外科
受理年月日
2006年6月28日
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