症例報告
骨形成を伴う後腹膜高分化型脂肪肉腫の1例
小森 康司, 平井 孝, 金光 幸秀, 山村 義孝, 安井 健三, 清水 泰博, 伊藤 誠二, 望月 能成, 加藤 知行
愛知県がんセンター中央病院消化器外科
症例は68歳の男性で,腹部膨満感を主訴に当科を受診した.右側腹部に弾性硬の小児頭大の腫瘤を触知し,CTでは右腎下極に接した低吸収腫瘤を認め,内部に粗大な石灰化を認めた.MRIではCTの石灰化した部位に一致し,腫瘍の中心に,低信号の結節を認めたが,辺縁では,脂肪成分と等しく,T1で低信号,T2で高信号を呈した.右腎動脈造影と腰動脈造影検査で腫瘍濃染像を認めた.10月中旬に開腹したところ,右後腹膜に小児頭大の巨大腫瘍を認めた.腫瘍は右腎下極と強固に癒着しており,右腎周囲脂肪から発生したと判断し,腫瘍と右腎をen-blockに摘出した.腫瘍径は24.5×20.5×11.5 cmで重量は1,600 gであった.病理組織学的検査所見は著明な骨形成を伴う高分化型脂肪肉腫と診断された.骨形成を伴った後腹膜高分化型脂肪肉腫は極めてまれであり,自験例を含め6例のみであった.本症例は病理組織学的にも興味深く,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
retroperitoneal well-differentiated liposarcoma, metaplastic bone formation, trabecular bone tissue
別刷請求先
小森 康司 〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター中央病院消化器外科
受理年月日
2006年7月26日
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