症例報告
食道扁平上皮癌の放射線化学療法後,同部位に発生した“いわゆる癌肉腫”の1例
佐々木 省三, 黒阪 慶幸, 舩木 康二郎, 道輪 良男, 竹川 茂, 桐山 正人, 川島 篤弘*, 小島 靖彦
国立病院機構金沢医療センター外科, 同 臨床検査部*
患者は89歳の女性で,食後のつかえ感を主訴に近医を受診し,食道腫瘍を指摘され当科に紹介となった.生検を含む精査にてLt,1pl,T2,N1,M0,IM0,Stage IIの食道扁平上皮癌と診断した.手術適応と考えたが同意が得られず,放射線化学療法(54 Gy+low dose FP)を施行した.内視鏡検査所見上,腫瘍による隆起は消失したが組織学的判定はGrade2であり奏効度はPRと判定した.12か月後の内視鏡検査で腫瘍の増大を認め,組織学的に食道癌肉腫と診断された.肝,肺転移にて治療開始より14か月後に永眠され病理解剖を行った.原発巣は“いわゆる癌肉腫”であり,転移巣はすべて扁平上皮癌であった.本症例においては放射線化学療法後に扁平上皮癌細胞がmetaplasiaを起こして紡錘形化し,“いわゆる癌肉腫”になったものと推察された.
索引用語
carcinosarcoma, esophageal carcinoma, radiochemotherapy
別刷請求先
佐々木省三 〒926-8605 七尾市富岡町94 恵寿総合病院消化器外科
受理年月日
2006年7月26日
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