症例報告
十二指腸憩室穿孔4例の検討
北山 大祐, 嶋村 文彦, 宮崎 勝*
千葉県救急医療センター外科, 千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学*
今回,我々は1999年1月より2005年12月までに4例の十二指腸憩室穿孔を経験した.自験例を含む38例の本邦報告例を集計し,十二指腸憩室の比較的まれな合併症である穿孔の診断および治療について検討した.十二指腸憩室穿孔は平均68.6歳.男女比9:29と高齢女性に多く認められる.腹痛を主訴とすることが多いが,その部位はさまざまで,白血球増多や筋性防御を伴わないこともしばしばである.術前診断率は26.3%と低く,診断に難渋することが多いが,CTによる有所見率は96.6%で最も有用と考えられ,後腹膜気腫像が特徴的な所見である.治療法は手術療法が一般的で,多くは憩室切除に適切な減圧およびドレナージを施行することで予後良好である.一方で,特徴的な所見を認めず診断までに時間を要し,状態を悪化させてしまうことが十分にありうる疾患であることも念頭に入れておかなければならない.
索引用語
perforated duodenal diverticulum, retroperitoneal emphysema, pneumoretroperitoneum
別刷請求先
北山 大祐 〒261-0012 千葉市美浜区磯辺3-32-1 千葉県救急医療センター外科
受理年月日
2006年6月28日
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