症例報告
主膵管内腫瘍発育を呈した膵腺房細胞癌の1例
尾上 俊介, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 鈴木 正臣, 平松 和洋, 吉原 基, 池山 隆, 鈴村 潔, 水谷 哲之, 安藤 晴光
豊橋市民病院外科
症例は46歳の女性で,健診にて膵腫瘍を指摘された.腹痛,黄疸はみられず,血液生化学検査では膵型アミラーゼ,CA19-9が異常を認めるのみであった.腹部超音波検査,CTでは膵頭部に直径約5 cmの境界明瞭で,膨張性に発育する腫瘍がみられ,尾側主膵管は拡張していた.膵管造影検査では主膵管に陰影欠損を認めた.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術にて腫瘍を摘出した.腫瘍は肉眼的に充実性で,被膜を形成し,膨張性発育を呈した.組織学的検索では腺房細胞癌と診断され,主膵管内への発育がみられた.術後8か月経過し,社会復帰している.最近10年間の膵腺房細胞癌切除本邦報告例は40例みられ,そのうち3例に膵管内腫瘍栓がみられた.本腫瘍は膨張性に発育するため周囲へ浸潤しにくいが,膵管内腫瘍栓を形成することがある.
索引用語
acinar cell carcinoma, intraductal tumor growth
別刷請求先
尾上 俊介 〒441-8570 豊橋市青竹町八間西50 豊橋市民病院外科
受理年月日
2006年6月28日
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