症例報告
大腸癌に合併した肝reactive lymphoid hyperplasiaの1例
高橋 広城, 松尾 洋一, 山本 稔, 沢井 博純, 佐藤 幹則, 岡田 祐二, 竹山 廣光, 真辺 忠夫
名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態外科学
症例は77歳の女性で,上行結腸癌の診断で他院から紹介され当院を受診された.術前の腹部CTで肝S3に若干造影される直径約1 cmの腫瘤を指摘され,腹部USでは低エコーであった.腹部MRIではT1-low,T2-highでsuperparamagnetic iron oxideの取り込みは認められなかった.転移性肝腫瘍と診断し,右半結腸切除術と肝S3部分切除術を施行した.肝臓の腫瘤は白色で被膜を有しており,比較的柔らかく境界は明瞭であった.病理組織学的検索では肝臓の病変はリンパ濾胞の増生を認めるのみで,転移は認められなかった.また,リンパ球にも異形性は認められず,免疫染色の結果を含めてreactive lymphoid hyperplasiaと診断された.本症例では術前の検索では転移性肝腫瘍と判断したが,画像診断による鑑別は非常に困難であり,正診率の向上のために今後さらなる症例の蓄積が必要と考えられた.
索引用語
reactive lymphoid hyperplasia, liver, colon cancer
別刷請求先
高橋 広城 〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態外科
受理年月日
2006年7月26日
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