症例報告
Gabexate MesilateとNafamostat Mesilateの交差反応によって術後アナフィラキシーショックを呈した1例
小田 晃弘, 三澤 健之, 矢永 勝彦
東京慈恵会医科大学外科
症例は64歳の男性で,乳頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.術後Nafamostat Mesilate(以下,FUTと略記)を20 mg点滴静注開始直後に,全身の発疹,浮腫を伴いショック症状を呈した.補液,酸素療法,ステロイドの静注により次第に意識が回復し,1時間後に呼吸・循環動態は正常化した.ショック後の採血では好酸球の増多ならびにFUTおよびGabexate Mesilate(以下,FOYと略記)に対するIgE抗体価の異常高値が認められた.また本症例は術前のERCP施行時と1年前の胆嚢摘出術施行時に,FOYの投与歴があった.FUTとFOYは抗原決定基の化学構造上の類似性を有する.このため,本症例はFOYで感作された後,交差反応によりFUTでアナフィラキシー反応を呈したものと考えられた.
索引用語
nafemostat mesilate, gabexate mesilate, anaphylactic shock
別刷請求先
小田 晃弘 〒105-8461 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科
受理年月日
2006年9月27日
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