症例報告
重症急性膵炎を契機に発見された十二指腸乳頭部癌の1例
坂部 龍太郎, 佐伯 修二, 多幾山 渉, 平林 直樹, 佐藤 幸雄, 向田 秀則, 山下 芳典
広島市立安佐市民病院外科
十二指腸乳頭部癌はさまざまな臨床症状を呈するが,急性膵炎を発症することは比較的まれである.我々は重症急性膵炎を契機に発見された十二指腸乳頭部癌の1例を経験したので,過去の本邦報告9例の文献的考察を加えて報告する.症例は58歳の男性で,心窩部痛を主訴に近医を受診し,当院へ紹介され緊急入院した.血液検査にて血清アミラーゼの上昇を認め,腹部CTにて膵全体の腫大と膵周囲のfluid collectionを認めた.重症急性膵炎(Stage 2)と診断し,動注療法を含めた集中治療を行い症状は軽快した.原因精査のためのERCP施行時に十二指腸乳頭部の発赤と襞の集中を認め,生検にて腺癌と診断された.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,D2リンパ節郭清を施行し,病理組織学的にStage IIIの十二指腸乳頭部癌と診断した.術後15か月目の現在,再発なく外来通院中である.
索引用語
carcinoma of the papilla of Vater, acute pancreatitis
別刷請求先
坂部龍太郎 〒731-0293 広島市安佐北区可部南2-1-1 広島市立安佐市民病院外科
受理年月日
2006年9月27日
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