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第40巻 第4号 2007年4月 [目次] [全文 ( PDF 386KB)]
症例報告

血清CA19-9値が異常高値を示した胆嚢炎の1例

明石 諭, 山本 雅敏, 細井 孝純, 堤 雅弘, 今川 敦史

済生会中和病院外科, 同 病理

 症例は54歳の女性で,心窩部痛・発熱にて受診し,腹部USにて胆石・胆嚢炎を認め入院となった.入院時検査で血清CA19-9値が26,780 U/mlと著明な高値を呈した.抗生剤投与により炎症は軽快し,CA19-9値も10,060 U/mlまで低下したが,依然高値であった.諸検査の結果,高CA19-9値は胆嚢炎によるものと考えられ,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の病理組織学的検索にて胆嚢壁に強い炎症を認めた.また,免疫組織染色ではRokitansky-Aschoff sinus上皮にCA19-9の強発現を認めた.術後にCA19-9値は49 U/mlまで低下し,外来通院中も再上昇は認めていない.血清CA19-9値は良性疾患,ことに胆石症においても高値を示すことはあるが,10,000 U/ml以上を呈することはまれである.CA19-9高値症例の検討から,炎症がCA19-9値上昇に強く関与していると思われた.

索引用語
CA19-9, cholecystitis

日消外会誌 40: 438-443, 2007

別刷請求先
明石  諭 〒631-0846 奈良市平松1-30-1 奈良県立奈良病院救命救急センター

受理年月日
2006年9月27日

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