症例報告
門脈ガスおよび胆管内ガスを伴った気腫性胆嚢炎の1例
若原 智之, 豊川 晃弘, 小松 昇平, 田中 賢一, 塚本 忠司, 濱辺 豊, 石田 武, 寺村 一裕*
淀川キリスト教病院外科, 同 病理部*
気腫性胆嚢炎は胆嚢内および胆嚢壁内のガス像を特徴とする急性胆嚢炎の一型である.胆管内ガスを伴う気腫性胆嚢炎はまれではあるものの報告は比較的散見される.門脈ガスは腸管壊死などさまざまな腹部疾患に伴って出現する現象であるが,気腫性胆嚢炎に起因することは非常にまれである.今回,我々は気腫性胆嚢炎に胆管ガスおよび門脈ガスを伴った症例を経験したので報告する.症例は79歳の男性で,全身倦怠感および食欲不振を主訴に受診.身体所見上右上腹部を中心に腹部全体の圧痛を認め,CT上胆嚢腫大と胆嚢内,胆嚢壁内のガス像を認めた.また,胆管内および門脈内にガスを認めたが,その他明らかな異常はなかった.気腫性胆嚢炎による汎発性腹膜炎の診断にて緊急胆嚢摘出術を施行,術後集中治療室での管理を行い,おおむね経過良好で退院となった.
索引用語
emphysematous cholecystitis, pneumobilia, portal venous gas
別刷請求先
若原 智之 〒533-0032 大阪市東淀川区淡路2-9-26 淀川キリスト教病院外科
受理年月日
2006年9月27日
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