症例報告
直腸癌の穿通によるFournier's gangreneの1例
小島 豊, 鎌野 俊紀, 坂本 一博, 松田 光弘, 仙石 博信, 瀧田 尚仁, 柳沼 行宏, 野中 英臣, 北村 大介, 小野 誠吾
順天堂大学下部消化管外科
Fournier's gangreneは痔瘻,肛門周囲膿瘍や泌尿器科疾患が原因となる場合が多いが,直腸癌を原因に発症した報告は少ない.今回,直腸癌の穿通によるFournier's gangreneの1例を経験したので報告する.症例は56歳の男性で,陰嚢の腫脹・疼痛と尿閉を主訴に当院泌尿器科を受診した.骨盤CTで尿道と陰嚢に拡がるdirty fat signとair densityおよび直腸に腫瘍像を認め,当科紹介となった.同日,緊急で膿瘍切開・ドレナージ,人工肛門造設術を施行した.また,術中に直腸腫瘍より施行した生検結果はwell differentiated adenocarcinomaであり,直腸癌の穿通によるFournier's gangreneと診断した.Fournier's gangreneの原因疾患として,直腸癌も鑑別診断の一つとして考慮すべきと考えられた.
索引用語
Fournier's gangrene, rectal carcinoma
別刷請求先
小島 豊 〒113-8421 文京区本郷2-1-1 順天堂大学下部消化管外科
受理年月日
2006年10月25日
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