症例報告
骨盤内臓全摘後4年間無再発の巨大直腸gastrointestinal stromal tumorの1例
須納瀬 豊, 竹吉 泉, 富澤 直樹, 川手 進, 浜田 邦弘, 東郷 望, 戸谷 裕之, 大和田 進, 桜井 信司*, 森下 靖雄
群馬大学大学院臓器病態外科学, 同 病理部*
患者は61歳の男性で,平成14年4月,下血と肛門部痛のため近医を受診し,直腸診で腫瘤を指摘され当院に紹介された.大腸内視鏡検査で,直腸に中心臍窩を伴う巨大な粘膜下腫瘍を認めた.CTとMRIで,直腸前壁に径12 cm大の内部不均一な腫瘤影があり,前立腺との境界も不明瞭であった.FDG-PETでは,腫瘤に一致して異常集積を認めた.画像および生検の所見より,直腸GISTの前立腺浸潤と診断し,同年5月に骨盤内臓全摘術を施行した.切除標本では,中心壊死を伴う浸潤性の病変で,組織学的にも前立腺に浸潤していた.核分裂像を50視野中13個認め,免疫染色ではc-kit, CD34が陽性で,高リスクのGISTと診断された.巨大な直腸GISTに骨盤内臓全摘術を行い,治癒切除後4年,無再発の症例を経験した.再発のリスクは治癒切除の可否で左右されるため,適切な切除による根治性の高い手術を行うことが重要である.
索引用語
gastrointestinal stromal tumor, rectum, c-kit
別刷請求先
竹吉 泉 〒371-8511 前橋市昭和町3-39-22 群馬大学大学院臓器病態外科学
受理年月日
2006年9月27日
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