症例報告
Sister Mary Joseph's noduleの1例
鶴田 雅士, 長谷川 博俊, 西堀 英樹, 石井 良幸, 遠藤 高志, 似鳥 修弘, 岡林 剛史, 浅原 史卓, 向井 万起男*, 北島 政樹
慶應義塾大学外科, 同 病理*
症例は70歳の男性で,下腹部痛および臍部腫瘤を主訴に当院皮膚科を受診.臍上部に発赤,圧痛を伴う1.0 cm大の硬結を触知し組織生検にて腺癌の臍転移が疑われた.内科での全身精査にてS状結腸に2型の進行癌を認めた.その他の遠隔転移は認めず原発巣と同時に臍部転移巣を完全切除した.病理組織学的にS状結腸癌臍転移と診断された.テガフール・ウラシル内服による補助化学療法施行するも,術後6か月目に腹壁転移を認め,9か月目に癌死した.内臓悪性疾患の臍転移はSister Mary Joseph's noduleと言われ,予後不良で発見から死亡まで1年以内との報告も多いが,原発巣および臍転移部の外科的切除で予後が改善されたという報告もある.臍部腫瘤に関しては内臓悪性疾患の臍転移も念頭におきながら精査する必要があると思われた.
索引用語
Sister Mary Joseph's nodule, umbilical metastasis, colon cancer
別刷請求先
長谷川博敏 〒160-8582 新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
2006年9月27日
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