臨床経験
癌終末期消化管閉塞に対するオクトレオチドの有用性
戸倉 夏木, 金子 弘真*, 伊藤 正朗, 名波 竜規, 本田 亮一, 渡邊 正志*, 寺本 龍生*
済生会若草病院外科, 東邦大学医学部一般・消化器外科(大森)*
癌終末期の消化管閉塞による悪心,嘔吐,腹部膨満感は患者のquality of lifeを損なう.オクトレオチドは,これらの症状を緩和すると報告されている.2004年10月にオクトレオチドが保険適応となり一般病棟でも消化管閉塞患者に使用可能となった.我々は2005年5月から2006年3月までに,癌終末期消化管閉塞患者7例にオクトレオチドを使用し良好な結果を得た.平均年齢は67.3±11.2歳,男性4例,女性3例で,胃癌3例,S状結腸癌,上行結腸癌,膵臓癌,原発不明癌が各1例であった.悪心,嘔吐,腹部膨満感はJCOG toxicity scaleでgradeが全例低下し,5例は経口摂取が可能となった.オクトレオチド投与後,全例経鼻胃管を挿入することはなく,輸液も減量することができた.我々消化器外科医もオクトレオチドを手術適応のない癌終末期消化管閉塞患者の第1選択薬として考えるべきである.
索引用語
bowel obstruction, octreotide, terminally ill patient
別刷請求先
戸倉 夏木 〒236-8653 横浜市金沢区平潟町12-1 済生会若草病院外科
受理年月日
2006年9月27日
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