原著
上部消化管潰瘍穿孔の手術適応判断におけるCTの有用性について
岡村 行泰, 原田 明生, 猪川 祥邦, 菅江 崇, 城田 高, 高瀬 恒信, 中山 茂樹, 梶川 真樹, 矢口 豊久
愛知県厚生連海南病院外科
はじめに:上部消化管穿孔は,近年,保存的治療が積極的に行われている疾患である.しかし,手術治療に移行する客観的な指標はなく,手術適応を判断するためのCTの有用性について検討を行った.方法:治療方針を決定するために1998年2月から2002年10月の上部消化管潰瘍穿孔53例で白血球数,CRP値,腹部CTの腹水量についてretrospectiveに検討を行った.検討結果からは既存症のない70歳未満かつCTで肝表面の腹水が2 cm未満の症例が保存的治療の適応と考えられた.以上の治療方針を2002年11月から2004年10月までの20例に対し行い,その治療方針の妥当性を検討した.結果:20例中18例が治療方針に沿って治療が行われ,2例が逸脱した.死亡例は1例で腹水量が大量で,はじめから手術を行った症例であった.考察:CTは上部消化管潰瘍穿孔症例において白血球数やCRP値より手術適応を判断する客観的な指標の一つになりうると考えられた.
索引用語
upper gastrointestinal tract perforation, peritonitis, computed tomography, ascites
別刷請求先
岡村 行泰 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007 静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
受理年月日
2006年10月25日
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