症例報告
食道原発悪性リンパ腫の1例
平松 良浩, 菊池 寛利, 山本 真義, 近藤 賢司*, 馬場 恵, 太田 学, 神谷 欣志, 田中 達郎*, 鈴木 昌八, 今野 弘之
浜松医科大学外科学第2, 同 光学医療診療部*
症例は60歳の男性で,嚥下障害を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にて食道潰瘍を指摘され,当院を紹介受診した.内視鏡および食道造影検査にて,胸部上中部食道の亜全周性3型病変と考えられた.繰り返し行った生検で確定診断を得ることができなかったが,内視鏡先端に装着したフードキャップで白苔を除去し生検を行い,悪性リンパ腫の診断を得た.全身検索により,甲状腺右葉,縦隔リンパ節への浸潤を認めた.食道病変は深い潰瘍を有し,化学療法中の穿孔が危ぐされたため手術を先行する方針とし,右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.開胸時混濁胸水を認め,潰瘍は穿通していた.術後膿胸,MRSA肺炎を合併したが,全身状態の改善を得た後,化学療法を施行し,寛解導入した.治療後3年を経過した現在まで再燃なく生存中である.診断,治療に苦慮したまれな食道原発悪性リンパ腫の1例を経験したので,文献的考察を加え症例提示した.
索引用語
esophagus, malignant lymphoma
別刷請求先
平松 良浩 〒431-3192 浜松市半田山1丁目20-1 浜松医科大学外科学第2教室
受理年月日
2006年10月25日
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