症例報告
胃癌の同時性胆嚢転移の1例
境 雄大, 佐藤 浩一, 須藤 泰裕, 小柳 雅是, 長谷川 善枝, 田中 正則*
弘前市立病院外科, 同 臨床検査科*
症例は54歳の男性で,数年前から胆石症と診断されていた.めまいを主訴に近医を受診した際に貧血を指摘され,上部消化管内視鏡検査を受けた.胃体部に出血性潰瘍があり,内科治療を行った.内視鏡再検にて胃癌と診断された.CT,超音波検査で胆嚢は著明に萎縮し,内部に結石を認めた.遠隔転移は認められなかった.幽門側胃切除術,D2郭清,胆嚢摘出術を行った.胃癌は3型,低分化腺癌,se, int, INFγ,ly2, v1であった.胆嚢の粘膜に癌細胞はなく,体部から底部の間質を中心に胃癌細胞の転移を認めた.胃癌の同時性胆嚢転移と診断した.病期はT3N2H0P0CY0M1, Stage IVであった.術後胆汁漏が遷延したが,術後88日目に退院した.術後5か月で閉塞性黄疸と癌性胸膜炎により死亡した.自験例における胆嚢転移の機序はリンパ行性転移と推測された.胃癌の胆嚢転移はまれであるが,予後不良である.胃癌の転移性胆嚢癌の1例を文献的考察を加えて報告する.
索引用語
gallbladder metastasis, gastric cancer, gallstone
別刷請求先
境 雄大 〒036-8004 弘前市大町3-8-1 弘前市立病院外科
受理年月日
2006年10月25日
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