症例報告
下大静脈,肝静脈鬱血を伴う巨大肝未分化肉腫の1切除例
平田 貴文, 別府 透, 石河 隆敏, 杉山 眞一, 高森 啓史, 金光 敬一郎, 本田 由美1), 櫻井 健一2), 広田 昌彦, 馬場 秀夫
熊本大学大学院消化器外科, 同 附属病院病理部1), 熊本中央病院消化器科2)
症例は52歳の女性で,約2か前より全身倦怠感と呼吸苦が出現し,精査にて直径20 cm超の巨大肝腫瘍を認め当院紹介となった.37歳時に不妊治療のためホルモン療法を行った.進行性の貧血,呼吸困難,両下肢の腫脹を認めperformance status(以下,PSと略記)は3であった.USでは腫瘍は肝前~内側区域に存在し内部は多彩で,右,中肝静脈根部は描出されず,左肝静脈や右グリソン鞘は圧排されていた.単純CTで一部に高吸収域を認め,MRI, T1強調像にて高信号で腫瘍内出血と診断した.造影CTで腫瘍辺縁より内部に向かう動脈と腫瘍濃染を認めた.下大静脈は腫瘍により圧排されていた.肝細胞腺腫や肉腫を疑い前方アプローチによる肝右3区域切除術を行った.腫瘍径23 cm,重量4 kgであった.術後再膨張性肺水腫を認めたが改善し,PS 0となった.術後病理診断は肝未分化肉腫であった.術後9か月の現在,無再発生存中である.
索引用語
undifferentiated sarcoma, liver, adult
別刷請求先
平田 貴文 〒860-8556 熊本市本荘町1-1-1 熊本大学大学院消化器外科学
受理年月日
2006年12月15日
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