症例報告
膵内分泌腫瘍核出後4年目に発症したグルカゴン産生腫瘍併存インスリノーマの1例
坂下 文夫, 長田 真二, 小森 充嗣, 松井 聡, 徳山 泰治, 奥村 直樹, 田中 秀典, 細野 芳樹, 杉山 保幸, 安達 洋祐
岐阜大学腫瘍外科
患者は24歳の男性で,平成10年12月に無症候性膵内分泌腫瘍に対して腫瘍核出術を受けている.平成15年1月頃より空腹時の全身倦怠感,冷汗,思考力の低下を自覚していた.平成16年10月,運転中に意識消失し近医へ搬送され,低血糖(31 mg/dl)に対する精査加療目的にて当院内分泌内科に紹介された.血管造影下CTにて膵尾部に6個の多血性腫瘤を認め,選択的動脈内カルシウム注入検査で脾動脈を主要栄養領域とするインスリン分泌腫瘍と診断し,脾温存膵尾部切除術を施行した.切除標本ではインスリン陽性細胞からなる腫瘍とグルカゴン陽性細胞からなる腫瘍が併存していた.術後経過に問題なく退院し,1年目の造影MRIでは再発や転移を認めていない.インスリノーマとグルカゴン産生腫瘍が多発して併存している例は極めてまれであり,文献的考察を加え報告する.
索引用語
insulinoma, glucagonoma, arterial stimulation venous sampling (ASVS)
別刷請求先
坂下 文夫 〒501-1194 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学腫瘍外科
受理年月日
2006年11月22日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|