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第40巻 第5号 2007年5月 [目次] [全文 ( PDF 371KB)]
症例報告

茎捻転で診断された腸間膜脂肪腫の1例

林 亨治, 三隅 涼子, 横溝 博, 平田 稔彦

熊本赤十字病院外科

 症例は55歳の男性で,急に右側腹部痛を自覚し,症状が改善しないため翌日当院救急外来を受診した.来院時,右側腹部を中心に筋性防御を伴う圧痛を認めたが腫瘤は触れなかった.CTでは右側腹部に大きさ約5 cmの内部に脂肪を含む境界明瞭な腫瘤を認め,腫瘤を中心に周囲脂肪織への炎症の波及が見られた.入院翌日,鏡視下手術を行い,右側腹部に小腸間膜より発生した有茎性腫瘤を認めた.腫瘤はうっ血し,茎部で捻転していることが確認できたため,有茎性腫瘤の茎捻転が今回の発症原因と考えられた.術後の標本病理では成熟脂肪細胞の増生からなる腫瘍で,悪性所見は認められなかった.腸間膜脂肪腫は腸間膜に発生する腫瘍の中でもまれで,さらに有茎性に発育した脂肪腫が茎捻転で発症した症例は過去に1例しか報告されておらず,本邦で2例目の症例報告と思われる.

索引用語
mesenteric lipoma, torsion of the pedicle, endoscopic surgery

日消外会誌 40: 645-649, 2007

別刷請求先
林  亨治 〒861-8039 熊本市長嶺南2-1-1 熊本赤十字病院外科

受理年月日
2006年10月25日

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