症例報告
FDG-PET/CTにて大動脈周囲リンパ節偽陽性を示した進行・再発直腸癌の2切除例
最相 晋輔, 齊藤 修治, 吉田 剛, 石井 正之, 森田 浩文, 山口 茂樹, 前田 敦行1), 上坂 克彦1), 古川 敬芳2)
静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 同 消化器外科1), 同 画像診断科2)
直腸癌の進行度診断にFDG-PET・PET/CTが用いられているが,その有用性は十分に確立していない.FDG-PET/CTにて大動脈周囲リンパ節(No. 216)が偽陽性であった進行・再発直腸癌を2例経験したので報告する.症例1は69歳の女性で,下部直腸癌,cAI(子宮),cN2,cH0,cP0,cM1(No. 216),cStage IV,CTにて原発巣周囲とNo. 216のリンパ節腫大を指摘,いずれもFDG-PET/CTで集積を認めた.低位前方切除術・子宮合併切除,D3+No. 216郭清を施行し,病理組織学的検査ではNo. 216を含めリンパ節はすべて転移陰性であった.症例2は54歳の女性で,腹会陰式直腸切断術後局所・リンパ節再発.FDG-PET/CTでは局所再発巣とNo. 273Lt・No. 216リンパ節に集積を認めた.再発腫瘍切除・子宮膣後壁尾骨合併切除,No. 216郭清を施行,病理組織学的検査では郭清したリンパ節に転移はなかった.進行・再発直腸癌では,炎症や先行する手術の影響によりリンパ節がFDG-PET/CT偽陽性となる場合があり,術中生検などの検索を行い,治癒切除の機会を逸することがないよう注意を要する.
索引用語
false-positive in FDG-PET/CT, para-aortic lymph node, rectal cancer
別刷請求先
最相 晋輔 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007 静岡県立静岡がんセンター
受理年月日
2006年12月15日
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