症例報告
大量出血を生じた十二指腸球後部潰瘍の1例
高橋 崇真, 根東 順子, 河野 弘
名古屋掖済会病院外科
症例は46歳の男性で,直腸癌に対する低位前方直腸切除術後第10病日目に突然ショック状態となった.緊急上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部潰瘍より出血を認め,確定的な出血点は同定できなかったが潰瘍内の露出血管にクリッピングを行った.ショック状態からは一時離脱したが,翌日再出血によりショック状態となったため,緊急開腹術を施行した.術中所見から出血性十二指腸球後部潰瘍と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後には膵液瘻およびそれに伴う右結腸動脈瘤破裂が生じ,開腹止血術を施行した.その後は良好に経過し術後81病日目に退院となった.急性大量出血で発症した十二指腸球後部潰瘍に対し,膵頭十二指腸切除術を施行し救命しえた症例は,過去に報告がないので,手術術式の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
postbulbar duodenal ulcer, acute hemorrhage
別刷請求先
高橋 崇真 〒453-8511 名古屋市中村区道下町3-35 名古屋第一赤十字病院外科
受理年月日
2007年1月31日
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