症例報告
Nonrecurrent inferior laryngeal nerveを伴う胸部食道癌手術の4例―解剖学的変異と手術中の注意点―
山崎 誠, 土岐 祐一郎, 宮田 博志, 安田 卓司, 瀧口 修司, 藤原 義之, 門田 守人
大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
Non-recurrent inferior laryngeal nerve(以下,NRILNと略記)を伴う胸部食道癌手術を4例経験したので報告する.いずれの症例も近医で食道癌を指摘され当科に紹介となった.術前CTにてNRILNを合併した胸部食道癌と診断し,右開胸食道亜全摘・3領域リンパ節郭清術を施行した.手術時,右反回神経は右鎖骨下動脈を反回することなく,右迷走神経より直接分岐し,喉頭に横走するNRILNを確認・温存した.また,胸管は全例合併切除としたが,右鎖骨下動脈前面を上行し右静脈角に流入する走行異常を伴っていた.右鎖骨下動脈起始異常は,反回神経や胸管の走行異常などの変異を伴っており,厳重に注意して手術を施行する必要がある.さらに,NRILN合併例では上縦隔リンパ節転移の有無に関係なく頸部リンパ節に転移する可能性があり,3領域リンパ節郭清を標準術式とすべきであると思われた.
索引用語
nonrecurrent inferior laryngeal nerve, esophageal cancer, aberrant right subclavian artery
日消外会誌 40: 1466-1472, 2007
別刷請求先
山崎 誠 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学
受理年月日
2007年1月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|