症例報告
S状結腸癌を合併し腹腔内に破裂した胆管嚢胞腺癌の1例
折茂 達也, 神山 俊哉, 中川 隆公, 中西 一彰, 横尾 英樹, 田原 宗徳, 蒲池 浩文, 松下 通明, 久保田 佳奈子*, 藤堂 省
北海道大学病院第1外科, 同 病理部*
症例は61歳の女性で,右側胸部痛を主訴に近医を受診した.腹部CTで,肝S8-7に嚢胞性腫瘍と肝表面に液体貯留を認め,腫瘍からの出血と診断しTAEを施行した.また,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型腫瘍を認めた.当科紹介となり,2005年10月,S状結腸切除D3,肝S8-7切除を施行した.肝臓の摘出標本では,内部に粘液と,血腫もしくは壊死物質を考える褐色内容物を有する被膜で覆われた病変を認めた.病理組織学的検査所見では,S状結腸は高~中分化腺癌,肝臓は肝原発の胆管嚢胞腺癌であった.胆管嚢胞腺癌はまれな疾患であり,治療は外科的切除が第1選択である.中でも腹腔内に破裂した胆管嚢胞腺癌は極めてまれであり,再発の可能性が高いと考えられ,今後の厳重な経過観察を要する.
索引用語
bile duct cystadenocarcinoma, spontaneous rupture
日消外会誌 40: 1496-1501, 2007
別刷請求先
折茂 達也 〒060-8648 札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学病院第1外科
受理年月日
2007年2月28日
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