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第40巻 第8号 2007年8月 [目次] [全文 ( PDF 386KB)]
症例報告

直腸癌術後11年で認められた膵および肝転移の1切除例

谷 直樹, 野口 明則, 竹下 宏樹, 山本 有祐, 伊藤 忠雄, 中西 正芳, 菅沼 泰, 山口 正秀, 岡野 晋治, 山根 哲郎

松下記念病院外科

 今回,我々は直腸癌術後の膵および肝転移に対する1切除例を経験したので報告する.症例は78歳の男性で,1993年に直腸癌に対して直腸切断術,肝S7の同時性転移に対する肝部分切除を施行した.術後は無再発に経過していたが,11年目の2004年10月腫瘍マーカーの高値を指摘され,腹部造影CTを施行したところ膵体部および肝S4に腫瘍を認めた.ERCPで膵管の途絶を認め膵体部癌および肝転移を疑い膵体尾部脾合併切除および肝部分切除を施行したが,病理組織学的検査の結果はともに11年前の直腸癌からの転移であった.大腸癌の膵転移はまれな病態であるが,初回手術から長期間を経てから生じること,経過中に肺,脳,肝臓など多臓器に血行性転移を生じる例が多いこと,予後不良であるなどの特徴を有するので治療上の注意が必要である.本邦報告例の検討から,初回手術後長期経過して発見された膵転移は切除後の予後が比較的期待できる可能性があると考えられた.

索引用語
colorectal cancer, pancreatic metastasis, liver metastasis

日消外会誌 40: 1536-1541, 2007

別刷請求先
谷  直樹 〒570-8540 守口市外島町5-55 松下記念病院外科

受理年月日
2007年3月28日

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