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第40巻 第9号 2007年9月 [目次] [全文 ( PDF 437KB)]
症例報告

肝細胞癌を合併したBudd-Chiari症候群の1例

錦 建宏, 千々岩 一男, 松本 耕太郎, 近藤 千博, 内山 周一郎, 長池 幸樹

宮崎大学医学部外科学講座腫瘍機能制御外科

 症例は52歳の女性で,気管支喘息の発作を契機に近医に入院,肝腫瘤と脾腫・上行腰静脈・奇静脈の高度の拡張を認め,精査加療目的で当科紹介入院となった.腹部CT・血管造影CTで,肝S5に5.0 cm大の肝細胞癌を認めた.胸部造影CTで横隔膜直下の下大静脈に膜様閉塞を認め,下大静脈造影検査では同部の膜様閉塞と上行腰静脈,奇静脈を介して上大静脈へ還流する側副血行路を認めた.肝細胞癌を合併したBudd-Chiari症候群(以下,BCS)と診断し,肝S5部分切除術を施行した.BCSに対しては,肝機能は比較的保たれており,側副血行路の発達で膜様構造物を介した上大静脈と下大静脈の圧格差はほとんど認めず,門脈圧も18 mmHgであったため,経過観察とした.BCSにおける肝細胞癌の合併頻度の報告はさまざまであるが,今回,BCSにB型肝炎,C型肝炎ウィルス陰性肝細胞癌を合併した症例を経験したので,文献的考察を含め報告した.

索引用語
Budd-Chiari syndrome, hepatocellur carcinoma, liver cirrhosis

日消外会誌 40: 1593-1598, 2007

別刷請求先
千々岩一男 〒889-1692 宮崎郡清武町大字木原5200 宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科

受理年月日
2007年2月28日

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