症例報告
膵頭部管状腺癌と中下部胆管印環細胞癌の衝突癌の1例
加藤 宏之, 柏倉 由実, 飯澤 祐介, 北川 真人, 田中 穣, 長沼 達史, 藤森 健而, 中野 洋*, 伊佐地 秀司**
済生会松阪総合病院外科, 同 病理学*, 三重大学医学部付属病院肝胆膵外科**
症例は78歳の男性で,黄疸,白色便を主訴として当院受診.精査にて中下部胆管癌もしくは膵頭部癌と診断され亜全胃温存膵頭十二指腸切除+リンパ節郭清を施行.摘出標本では中下部胆管と膵頭部に2種の腫瘍を認め,病理組織学的検査では中下部胆管に印環細胞癌を認め膵臓に高度浸潤を認めた.また,膵頭部には高分化型管状腺癌を認め両腫瘍間に細胞移行像は認められないことから多発腫瘍による衝突癌と考えられた.患者はgemcitabineを用いた化学療法を施行中であり術後14か月現在,無再発生存中である.膵衝突癌は術前画像診断で中下部胆管癌と膵頭部癌の両者の特徴を併せ持っており術中所見においてもその診断は困難であった.
索引用語
multiple primary cancers, collision cancers, signet ring cell carcinoma of bile duct in operative findings
日消外会誌 40: 1611-1616, 2007
別刷請求先
加藤 宏之 〒515-0004 松阪市朝日町15-6 済生会松阪総合病院外科
受理年月日
2007年2月28日
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