症例報告
胆嚢癌切除後経過中に下部胆管癌を合併した非拡張型膵・胆管合流異常の1切除例
石田 道拡, 仁熊 健文, 湯川 拓郎, 三村 哲重, 筒井 信正
岡山済生会総合病院外科
症例は57歳の女性で,胆嚢癌疑いにて当院紹介.不均一な胆嚢壁の肥厚と胆管の拡張を伴わない膵胆管合流異常を認めた.非拡張型膵・胆管合流異常に伴った胆嚢癌と診断し,手術を施行.術後病理組織学的検査では胆嚢癌,ss,pN0,Stage II,sCurA.術後12か月,DUPAN-2の異常値を認め,その後も上昇した.PETでは膵頭部に集積を認め,MRIでは下部胆管内に20 mm大の腫瘤を認めた.下部胆管に発生した悪性腫瘍と診断し,18か月後に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行.腫瘍は下部胆管(共通管内)に存在し,病理組織学的検査所見で腫瘍周囲に異型上皮が一様に広がり,原発腫瘍と診断した.非拡張型膵・胆管合流異常では胆嚢癌が高率に発生し胆管癌の発生は低いという報告が多い.本例は非拡張型合流異常で胆嚢癌手術後経過中に,下部胆管(共通管)に癌が発生した.非拡張型合流異常であっても胆管癌が発生する可能性があることが示唆された.
索引用語
pancreaticobiliary maljunction, bile duct cancer, gallbladder cancer
日消外会誌 40: 1623-1629, 2007
別刷請求先
石田 道拡 〒700-8511 岡山市伊福町1-17-18 岡山済生会総合病院外科
受理年月日
2007年2月28日
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