CA19-9産生sm胃癌の1例

石上　俊一, 崎久保　守人, 上村　良, 浦　克明, 大江　秀明, 吉川　明, 田村　淳, 馬場　信雄, 坂梨　四郎, 雑賀　興慶^＊

大津赤十字病院外科部, 同　病理部^＊

　症例は右乳癌術後1年半を経過した75歳の女性で，定期検診で血清CEA値が203 ng/ml，CA19-9値が2,090 U/mlと高値を示した．諸検査にて乳癌の再発所見は認められなかったが，胃体上部後壁に径6 cmのIIa＋III病変を認め，生検にて低分化型腺癌の診断であった．2001年4月に胃全摘，脾摘および膵体尾部切除術が施行された．主病変は白色の脆弱な腫瘍で，病理組織学的に深達度はsmであった．肝転移や遠隔転移は認めず，脾動脈幹近位および遠位リンパ節にだけ転移を認め，臨床病期はstageIVであった．免疫組織染色で，主腫瘍および転移リンパ節はともにCA19-9に強染した．術後，血清CA19-9値は速やかに正常化し，患者は5年を経過した現在も無再発生存中である．

索引用語
CA19-9 producing gastric cancer, lymph node along splenic artery, immunehistochemistry

別刷請求先
石上　俊一　〒520-8511　大津市長等1-1-35　大津赤十字病院外科部

受理年月日
2007年3月28日

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