腎癌多発膵転移の2切除例

松本　正成, 草塩　公彦, 塚本　剛, 押田　正規, 安冨　淳, 笠川　隆玄, 福富　聡, 鈴木　秀, 深尾　立, 宮崎　勝^＊

千葉労災病院外科, 千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学^＊

　今回，我々は腎癌多発膵転移巣に対し2度の膵切除または膵全摘を行った2例を経験した．症例1は59歳の男性で，1992年5月，腎細胞癌にて左腎摘出術を施行した．1999年に肝機能障害を指摘され，精査にて腎癌膵転移と診断，2000年8月幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した．さらに，術後経過観察中に残膵再発を認め，2002年10月残膵切除・脾摘術を施行した．2006年12月現在再発兆候を認めず生存中である．症例2は65歳の女性で，1995年12月腎細胞癌にて右腎摘出術を施行した．2005年6月背部痛を認め，精査にて腎癌膵転移と診断され，膵全摘・脾摘術を施行した．2006年12月現在再発兆候を認めず生存中である．腎癌膵転移では，積極的切除により長期生存が期待できると考えられた．

索引用語
pancreatic metastasis, renal cell carcinoma, total pancreatectomy

別刷請求先
松本　正成　〒290-0003　市原市辰巳台東2-16　千葉労災病院外科

受理年月日
2007年3月28日

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