臨床経験
腹膜偽粘液腫のPeritoneal Carcinomatosis Indexと悪性度の評価
築山 吾朗, 米村 豊, 川村 泰一, 坂東 悦郎, 伊藤 寛晃, 草深 公秀1), PH Sugarbaker2)
静岡県立静岡がんセンター胃外科・腹膜播種科, 同 病理診断科1), Washington Hospital Center2)
腹膜偽粘液腫15例について,腹膜播種の分布と量を数量化する指標のPeritoneal Carcinomatosis Index(以下,PCI)を用いて悪性度・予後との相関を評価し,治療法の選択の手段として導入する目的で検討した.男性:女性は10:5で,平均年齢は57歳であった.切除標本をHE染色・粘液染色・免疫染色し診断した.すべての症例で粘液染色のmucicarmin染色,免疫染色のMUC2・MUC5AC陽性であり,腹膜偽粘液腫と確認された.原発巣は虫垂12例・卵巣1例・原発不明2例,組織型はperitoneal mucinous carcinomatosis 8例,peritoneal mucinous carcinomatosis intermediate malignancy 6例,disseminating・peritoneal adenomucinosis 1例であった.完全切除がなされたのは2例でPCIが9と10であった.他の13例では平均29.5であった.完全切除の2例は再発もなく生存中である.PCIは悪性度の指標の一つになり,腹膜偽粘液腫の治療方針を決定する有効な判断の指標となると考えられる.
索引用語
pseudomyxoma peritonei, immunohistochemical stain, peritoneal carcinomatosis index
日消外会誌 40: 1739-1744, 2007
別刷請求先
築山 吾朗 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007番地 静岡県立静岡がんセンター
受理年月日
2007年3月28日
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