症例報告
大動脈周囲リンパ節転移陽性にもかかわらず根治切除後5年以上生存した胆嚢腺扁平上皮癌の1例
坂田 純, 白井 良夫, 若井 俊文, 金子 和弘, 永橋 昌幸, 畠山 勝義
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
大動脈周囲リンパ節転移陽性胆嚢癌症例の予後は極めて不良である.今回,大動脈周囲リンパ節転移陽性で切除後5年以上生存した胆嚢腺扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,進行胆嚢癌に対して胆嚢床切除+膵頭十二指腸切除+大動脈周囲リンパ節郭清を施行した.組織学的には腺扁平上皮癌で,所属リンパ節4個(うち大動脈周囲リンパ節1個)に転移を認めた.術後29か月目のCTで大動脈周囲リンパ節再発を認め,同領域の郭清を施行した.その後,軟部組織(右膝)転移,骨転移(第2腰椎)が出現し,右下肢切断,放射線照射を施行した.初回手術から60か月後には左鎖骨上窩リンパ節転移が出現し郭清を施行したが,多発肺転移が出現し,初回手術から77か月後に原病死した.本症例の経験および文献的考察から,胆嚢癌では大動脈周囲リンパ節転移に対する郭清が有効な症例もまれながら存在することが示された.
索引用語
gallbladder neoplasms, lymphatic metastasis, paraaortic lymph node metastasis
日消外会誌 40: 1816-1821, 2007
別刷請求先
坂田 純 〒951-8510 新潟市旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2007年4月25日
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